Synopsis
『在宅』
朝四時、
関節が先に目を覚ます。
壁に掴まって、
トイレまで行く。
たった数歩なのに、
昔より遠い。
冷蔵庫の灯りだけが、
台所に浮いている。
ガスは止められた。
危ないから、と。
電気ケトルのお湯が鳴る。
誰にも会わない朝。
電車だけが走っていく。
ヘルパーの置いた煮物を、
ひとりで温める。
生きるとは、
食べることではなく、
今日は転ばない、
と決めることに変わった。
それでも私は、
この六畳で朝を待つ。
まだ、
ここが私の家だから。
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