Synopsis

迷宮は、町を潤す。 素材が売れ、宿が埋まり、酒場が賑わう。 探索者、搬出補助、短期契約者たちは、それぞれの事情を抱えて穴へ向かう。 掲示板に並ぶ札には、こう書かれている。 「日払い」 「未経験可」 「戦闘なし」 その字を信じて潜った若者が戻らなくても、大人たちは言う。 本人が選んだ。 危険は説明した。 契約書に署名している。 ノラ・ヴェイルは、灰鷹ギルドに正式所属しない外部協力者だ。 請け負うのは、所在確認、応急処置、身元品の回収、そして救助。 けれど、助けるだけでは足りない穴がある。 名前を返しても、荷札を届けても、次の札が掲示板に掛かる。 誰かがまた「戦闘なし」の字を信じて、迷宮へ入っていく。 だからノラは、迷宮の核を奪う。 それは救いであり、罪でもある。 迷宮を閉じれば、そこで食べていた者たちの仕事も消える。 それでも、残せば次の誰かが食われる。 閉じれば腹は減る。 閉じなければ、誰かが死ぬ。 人を食う穴を、ノラは閉葬する。

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Kakuyomu
Kakuyomu06/06/2026
  • Current(旧案)迷宮閉葬