Synopsis

缶の底に、半分に割れたウエハースが、ひとつだけ残っていた。 噛むものではない、と昔きいた。舌の上で、溶けるのを待つ。中の空気が、ゆっくり口に広がる。 その空気は、いつの、どこの、晴れた日のものだろう。 空っぽのものほど、こうしてしまっておく。日付の消えかけたラベルごと、何年も。 冬の朝の、数分の話です。

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Kakuyomu
Kakuyomu06/05/2026
  • Current空っぽのウエハース