Synopsis
五時十四分。夢のなかで、十年に一度の完璧なアイディアを掴みかけていた。
その一行を引けば、あとは勝手にほどけていく――そう確信した瞬間、窓の外から三人組の怒鳴り声が飛び込んできた。金曜の朝の、駅前の。
目を開けてしまった。手のひらには、もう、なにもなかった。
戻ってこないことを、ゆっくりと確かめながら、わたしの頭は、別のことを考えはじめる。書き出しの一行を探していたときと、まったく同じ集中力で。
外の三人は、まだそこにいる。
――ちょうどいい。
ある小説家の、明け方の数時間。
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