Synopsis
完璧に直せば直すほど、鏡に映る自分の顔が怖くなった。自分には、オリジナルを生み出す才能なんてない――。
一流の修復士としてのプライドを失い、すべてを投げ出して錆びついた故郷へ逃げ帰ってきた渋沢修一。彼はそこで、亡き祖父が遺した奇妙な設計図に出会う。それは、手漕ぎの小舟の底に、町の伝統である伝説の「砂鏡」を嵌め込むという、無茶で、狂おしいほどの職人の執念だった。
道具は、持ち主がいなくなっても嘘をつかない。
「お前に都会ですり減った人間の何がわかる」
醜い八つ当たりと葛藤の果てに、男は夜の工房で再びガラス切りを握る。やり直しはきかない。
泥臭く不器用な大人の、挫折と、職人のプライドの再生を描く、潮騒とコーヒーの匂いに満ちた現代ドラマ。
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