Synopsis
感情はバグ。
任務は仕様書。
人間は、必要ならば切り捨てられる許容コスト。
パブリッシャーの最精鋭エージェント・織部悟は、そう信じて生きてきた。
闇の金融組織クロノスの情報経路を探る任務で、織部は古びた骨董品店に潜入する。そこで発見したのは、暗号化された取引記録ではなく、三十年間一日も欠かさず書き続けられた手帳だった。
「あの子は元気だろうか」
ただそれだけの問いが、一万日分。
やがて織部は、その「あの子」が自分自身であることを知る。
自分は捨てられたのではなかった。
父は命を賭して、息子を巨大なシステムの外側へ逃がしていた。
そして骨董商の老人は、父との約束を守り、織部を三十年間見守り続けていた。
だが、父が関わった組織の残骸は、今も別の家族を「許容コスト」として切り捨てようとしている。
命令に従うのか。
原則に従うのか。
一万日分の祈りを受け取ったエージェントは、ついに自分自身の意志で、欠陥だらけの世界を校正し始める。
※この作品は小説家になろうでも投稿しています。
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