Synopsis
コスメとアロマ作りに魅了された転生令嬢は彼女たちの病弱っぽさという詐病により呆れ果ててしまう。
「聞け、お前との婚約は破棄する!」
王宮の庭園にグラフェン公爵の声が響き渡った。怒りで顔を真っ赤にしているが、怒りはこちらの心には届かない。舞台劇を見ているかのように、静かに光景を眺めていた。
「えーっと」
グラフェンの隣に立つ義理の妹、ルフィルルは小動物のように震えながら、グラフェンの腕にしがみついている。その顔はうっすらと涙で濡れていた。
「はぁ、喜劇にしか見えない」
ああ、なんて見事な演技。心の中でスタンディングオベーションを送る。前世で女優でもやっていたのだろうかなんて、思うほどにルフィルルの演技は完璧。
「ミュラージュ。ルフィルルは病弱で、生きるだけで精一杯なのだ。お前のような冷酷な人間には、繊細な心は理解できないだろう」
グラフェンは謎に睨みつけてくる。本気でルフィルルが可哀想なのだと思い込んでいるけど。ルフィルルが病弱?虚弱?
どの口が言うのだろうか。呆れる。妹が病弱と称してこっちをいじめ抜いてきた日々が脳裏をよぎる。熱心に勉強していたら「頭が痛いから静かにして」と騒ぎ立て、大切な本を破り捨てる身内なのにうんざりだ。それならこちらも関係を破り捨ててあげよう。
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