Synopsis
アステリア王国王室記録局の書記官補佐、ノア・フェルディンは、戴冠式を目前に控えた王宮の混乱の只中にいた。
王位を継ぐのは、歴代最年少――わずか十歳の少女王、ステラ・ゼフィール。
王冠は単なる統治の証ではない。
それは「星冠」と呼ばれ、王が星の責を背負うことを意味する、神聖な儀式であった。
王宮では式典準備が進む一方で、書記官たちは膨大な修正業務に追われていた。
ノアもまた、宣誓原稿の調整に奔走することになる。
しかし、式典準備の過程で彼は気付く。
新たな王として迎えられる少女は、あまりにも静かで、あまりにも多くのことを語らない。
噂されるのは「人形のようだ」という評判。
だが実際に対面したステラは、その印象とはどこか異なっていた。
淡々と資料を読み、必要な言葉だけを選び取り、そして時折、書記官であるノアにすら意外な言葉を投げかける。
やがて戴冠式の刻が迫る中、王宮には不穏な空気が漂い始める。
先王の崩御。
王位継承者たちの相次ぐ離脱。
そして、幼き王に託された重すぎる責務。
誰もが不安を抱えながらも、儀式は進んでいく。
――星冠は、ただの冠ではない。
それは国そのものを背負う証。
そしてノアはまだ知らない。
この戴冠式が、王国の歴史を揺るがす長い物語の始まりに過ぎないことを。
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