Synopsis
「魔力なき妻では、侯爵家の恥になる」
婚約者に公衆の面前でそう告げられた公爵令嬢エリーゼは、泣かなかった。
怒りもしなかった。ただ静かに、一礼をして顔を上げた。
そのとき——謁見に同席していた隣国の王太子、アルノルト殿下が立ち上がった。
「貴女には魔力がないのではありません。あらゆる魔力を無効化する体質がある。それが貴女の本当の力です」
千年に一人の希少体質。魔法攻撃が激化する時代に、最も必要とされる「盾」。
二十年間「欠陥品」と呼ばれてきたものが、一夜にして別の名前になった。
翌週、エリーゼはアルヴァン王国へ旅立った。
知らない国。知らない人々。でもそこには——魔力のない自分を笑う人が、誰もいなかった。
怒らない。叫ばない。ただ、自分の道を歩く。
それが、一番のざまあだと思うから。
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