Synopsis
この世界では、「散歩」と口にした瞬間、その人は三十分歩かなければならない。
だから私たちは工夫をして生きてきた。「ちょっとそこまで」「足を伸ばしに」——正確な名前のないまま、並んで歩いてきた。
あなたが入院した秋、言いたい言葉があった。退院したら一緒に、と。でも病室の廊下を歩かせてしまうから、言えなかった。
言葉が、重すぎた。
退院の日、冬の河川敷を二人で歩きながら、私はようやく口を開く。そこで何を言ったか、この物語は書かない。
読み終えたあなたが、その続きを言ってほしい。
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