Synopsis

婚約破棄ではない。 断罪でもない。 ただ、白紙に戻されただけだった。 聖女への嫌がらせを疑われた令嬢アデル・ヴァルシュタインは、王太子の裁定によって婚約を「成立しなかったもの」として扱われ、王都を去ることになる。 誰かが明確に裁かれたわけではない。けれど、その場で何かが終わったことだけは確かだった。 領地へ戻ったアデルを待っていたのは、感傷ではなく実務だった。 治水、物流、税、治安。 止まりかけていたものを整え、滞っていた流れを繋ぎ直していくうちに、街は少しずつ息を吹き返していく。 やがてその変化は、王都にも届く。 かつて一枚の裁定で遠ざけられた令嬢は、今や多くのものを支える立場になっていた。 そして王都もまた、変わらないままではいられなくなっていく。 これは、何かを失ったはずの令嬢が、別の場所で確かなものを積み上げていく話。

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Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou04/24/2026
  • Current婚約の白紙はたいへん便利だった。誰も責任を取らずに済むので。