Synopsis

二十八歳の新婚・戸塚真由美は、妊娠の兆しを確かめるため病院を訪れた。 呼び出しに応じようとした瞬間、同じ名を持つ二人の女性が同時に立ち上がり、迷いなく診察室へ向かっていく。 その光景を見たとき、真由美の胸の奥で、細い糸がぷつりと切れた。 自分の名前が、皮膚の下から剥がれ落ちるように消えていく。 気づけば彼女は、千葉、岩手、金沢と、名も記憶も曖昧なまま彷徨っていた。 宿帳には自然に「平岡真由美」と書いてしまう。 本来の自分がどこにも見当たらない。 やがて警察に保護され、夫と両親の前に戻ったとき、 彼女はもう“戸塚真由美”ではなかった。 名前とは何か。 自分とはいったいどこに宿るのであろうか。

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Kakuyomu
Kakuyomu04/23/2026
  • Current剥がれた名前