Synopsis
道端に財布が落ちていた。
何人もの人が通り過ぎていく。
誰も足を止めない。
誰も見向きもしない。
見なかったことにするか。
それとも、拾って交番に届けるか。
ただ財布を拾うだけ。
ただ正しいことをするだけ。
そのはずだった。
けれど、中身を確認した瞬間、俺の中に小さな声が生まれる。
一枚くらいなら。
財布を届けるまでのわずかな時間。
男は、自分の中にある欲と、正しさと、浅ましさを見つめることになる。
これは、落ちていた財布を拾った男の話。
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