Synopsis
夜のグラスに沈んだ
琥珀色のシャンパンは、
最後まであなたを待っていた。
けれど――
来なかったのは、あなたではなく。
最初から、
わたくしを選ぶ気などなかった“心”の方でしたのね。
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「君なら大丈夫だろう」
その言葉で、
何度、わたくしは後回しにされたでしょう。
記念日も。
痛みも。
沈黙も。
崩れそうだった夜さえも。
あなたはいつも、
誰かの涙に酔い、
誰かの弱さに酔い、
“支えてくれる女”の孤独には気づかなかった。
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漆黒のドレスは、喪服でした。
終わった愛を弔うための。
背中を大きく開けたのは、
もうあなたに守られる必要などないと、
世界へ示すため。
わたくしはようやく、
あなたの妻をやめるのです。
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宝石とは不思議なもの。
本物は、
闇の中ほど美しく光る。
安物ほど、
光に縋りつき、
自らを飾り立てなければ輝けない。
だからあなたは、
あの子を選んだのでしょう。
軽くて、
甘くて、
何も知らない花を。
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けれど。
誰が会社を守っていたのか。
誰が信用を繋いでいたのか。
誰があなたを“成功者”に見せていたのか。
失ってから、
ようやく知ったのでしょう?
玉座に立っていたつもりで、
あなたはずっと、
わたくしの手のひらの上にいたのだと。
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さようなら。
もう、
あなたを待つことはありません。
冷えたスープも。
既読のつかない夜も。
空席のままの隣も。
すべて、
今日で終わり。
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夜明け色のドレスが揺れる。
新しい人生の色。
誰かのためではなく、
わたくし自身のために纏う、
最初の一着。
香るカサブランカ。
鳴り響くヒール。
まっすぐ前を見る横顔。
――ええ。
わたくしを後回しにする男など、
こちらからお断りですわ。
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