Synopsis
世界中にダンジョンが現れて十五年。
レアメタル、新エネルギー、未知の医療資源。
ダンジョンは人類に繁栄をもたらし、深層から帰還した探索者たちは英雄として称えられていた。
探索者候補生の黒瀬律は、探索高専の落ちこぼれ。
強くなるために味覚や恐怖や痛みを削る「深層適応」を、どうしても受け入れられなかったからだ。
飯が不味くなるくらいなら、そんなに強くならなくていい。
そう思っていた律はある日、人類最高峰の英雄・白城怜司の式典で、決定的な違和感を覚える。
その英雄は、一度も瞬きをしなかった。
娘を「個体」と呼び、感情を不純物として扱った。
そして周囲の大人たちは、それを合理的だと称賛した。
その日の昼、律の端末に存在しない通知が届く。
――貴方は本日、世界の「おもちゃ」に選ばれました。
強くなるほど味が消えるダンジョン。
人間性を削られていく探索者たち。
そして、地上人類の苦しみを見世物にする地下の観客。
これは、奪われた味と尊厳を取り戻すため、最後まで人間のまま、観客席に座る上位存在を引きずり下ろす物語。
※本作は小説家になろうにも掲載しています。
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