Synopsis
昭和二十四年、晩秋。水尾の旧家・鷹野家で、新展示「月蝕の懐中時計」の公開を前に、館主・鷹野宗一郎が倒れているのが発見される。
閉ざされた時計陳列室。傍らに置かれた懐中時計。針が指していたのは、午後九時十七分。
地方紙記者・宮坂文枝は、東京から来た古物商・黒瀬倫太郎の静かすぎる眼差しに違和感を覚える。彼が見ていたのは、死体だけではなかった。鍵、言葉、帳簿、そして戦時中に預けられ、返されなかったもの。
止まった時計の針が、旧家と町の沈黙を指し示す。
戦後の影をめぐる、文芸本格ミステリー。
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