Synopsis
死ぬほど尽くした。
それでも足りないと言われ続けた。
そして本当に、過労で死んだ。
目が覚めたのは、十五歳の入学式の朝だった。
勇者に十年を奪われた魔法使いフィーネは、一つだけ決めた。
あの男には、もう関わらない。
辺境の寒村に逃げた先で、もふもふの精霊と出会う。
魔法薬の工房を開き、村人の傷を治す日々が始まった。
誰にも急かされない朝が、こんなに静かだとは知らなかった。
そこに赴任してきたのは、噂の冷血辺境伯。
無愛想で、ほとんど口を利かない。
けれどこの男は、頼んでもいないのに工房の荷物を運ぶ。
壊れた井戸を素手で直す。
壁の材木を、黙って朝に置いていく。
言葉は足りないのに、行動だけがやけに温かい。
けれど辺境伯には秘密がある。
深夜まで灯りの消えない書斎に、何が隠されているのか。
フィーネはまだ、その答えを知らない。
王都では、勇者の化けの皮が少しずつ剥がれていた。
あの男が、お前が必要だと追いかけてくる。
もう振り向かないと決めたはずなのに。
不器用な辺境伯の優しさは、本物か。
それとも、別の目的があるのか。
二度目の人生で手にしたこの居場所を、フィーネは守りきれるのか。
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