Synopsis
伝説の女王アマルティアと、大逃げの旅人ウインドベル。
二人がターフを去り、家族になることを選んだ数年後、一人の子が生まれる。
名は、ベルアマード。
後に“黄金の血脈”と呼ばれることになる一族。
その始まりにいたのは、母の影に反発し、父の背中に憧れた一人の少年だった。
誰もが彼を、アマルティアの子として見た。
誰もが彼を、ウインドベルの走りを継ぐ者として見た。
けれど、彼が望んだのは、誰かの伝説の続きを演じることではない。
自分の名で呼ばれること。
自分の脚で、誰よりも前を走ること。
黄金の血脈、その第一章。
ベルアマード編、開幕。
【世界観について】
本作は、競馬文化や血統ロマン、世代戦、レース体系の構造を取り入れた架空競技小説です。
作中では、駆人と呼ばれる者たちが「競駆」という競技に挑みます。
駆人たちはターフを自らの脚で走り、速さ、持久力、駆け引き、精神力を競います。
競駆の世界では、血統、寮、ライバル、世代戦、そして一生に一度しか挑めない大舞台が重視されます。
“黄金の血脈”とは、アマルティアとウインドベルの子どもたち、そしてその子孫たちを指す呼び名です。
ただし、物語の始まりから世間がそう呼んでいるわけではありません。
子どもたちが走り、勝ち、挫折し、さらに次の世代へ夢を繋いでいく中で、いつしか人々がその血を“黄金の血脈”と呼ぶようになっていきます。
本作『ベルアマード編』は、その始まりの物語です。
【主な用語】
駆人:
人間に近い姿と知性を持ちながら、人間とは異なる身体能力と成長速度を持つ存在。
言葉を話し、家族を持つなど、生活様式や感情は人間に近い。
一方で、脚力、心肺機能、反応速度、持久力は走ることに特化しており、自らの脚でターフを走る競技「競駆」に挑む。
駆人は人間より早く成長する。
0〜1歳で人間の5歳前後、1〜2歳で13歳前後、2〜3歳で18歳前後、3〜4歳で20歳前後に相当する心身へ成長する。
そのため、駆人は二歳で競駆デビューを迎え、三歳で一生に一度の大舞台「リュニーク」へ挑む。
四歳以降は成熟した駆人として扱われ、早ければ四歳で競駆を引退し、長く走る者は九歳前後まで現役を続ける。
九歳は人間でいう30歳前後に近く、競駆界では長く戦ってきたベテランの年齢にあたる。
九歳以降は成長が緩やかになり、人間の一年に近い感覚で年を重ねていく。
ただし、駆人の寿命は人間より短い。
見た目が若々しくても、二十歳を少し超える頃には寿命を迎える。
寮では、競駆のためのトレーニングだけでなく、成長段階に応じた勉強も行われる。
引退後は、トレーナー、医者、会社員など、人間と同じようにさまざまな仕事に就く。
競駆:
駆人たちがターフを走り、順位を競う競技。
速さだけでなく、持久力、駆け引き、脚質、距離適性、気性、血統、成長が重視される。
競駆場:
競駆が行われる施設全体。
観客席、通路、ターフ、関係者エリアなどを含む。
ターフ:
実際にレースが行われる舞台。
駆人たちが走る芝のコース。
GR/グランドランク:
競駆における最高格式のレース。
寮:
競駆を目指す駆人が所属し、生活とトレーニングを行う場所。
出走資格にも関わる重要な拠点。
風杜:
アマルティアとウインドベルが育った場所。
保護施設であり、のちに競駆寮としても認められる。
男駆・女駆:
競駆における男性駆人・女性駆人の呼び方。
リュニーク:
三歳駆人が一生に一度だけ挑める最高格式の大競走群。
三歳駆人の頂点を決めるトリプルクラウンと、女駆の頂点を決めるトリプルジュエルをまとめた呼称。
トリプルクラウン:
三歳男駆を中心に挑む三冠路線。
雨月賞、日本クラウン、錦秋賞で構成される。
トリプルジュエル:
三歳女駆限定の三冠路線。
モルガナイト賞、ペイナイト賞、琥珀賞で構成される。
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