Synopsis
音楽で生きていく道を諦め、商社に就職した雨宮悠樹は、自分の年齢を忘れるほど仕事に没頭していた。しかし、空回り気味でいまいち上手くいかない。そんな時、深夜に何気なく開いた音声配信アプリ「ヴォイス・コネクト」で、「Midnight Pianist」という配信ルームに入る。自作曲や即興演奏など、心地いい電子ピアノの音に耳を傾けていた時、ふと、中学の時によく聴いていたとあるピアニスト(作曲家)の曲が聴こえてきた。自分がギタリストとしてメジャーデビューを夢見ていた頃の思い出の曲であり、悠樹は思わずコメント欄に「その曲、知ってます。懐かしいですね」と書き込む。
音楽の道を目指しながらも、大きな挫折を経験した「Midnight Pianist」と悠樹。二人はコメント欄で交流を深め、お互いを励まし合う。やがて悠樹の行動には変化が見え始め、そしてMidnight Pianistの正体に気付いた悠樹は、ある行動を起こす…。
【登場人物】
◇雨宮悠樹(あめみやゆうき 二十八歳)
商社勤務。中学から大学まで、自身がリーダーを務めるバンドでギターを担当していた。大学四年の時、メジャーデビュー目前で大手音楽レーベルのスカウトマンに「君だけいらない」と宣告され、それ以来、何をするにも自信が持てず、仕事もプライベートも空回りな日々を送る。
◇Midnight Pianist(ミッドナイトピアニスト)
音声配信アプリ「ヴォイス・コネクト」で深夜に不定期配信しているピアニスト。悠樹とコメント欄で交流するうちに、悠樹の痛みと自分の痛みを重ねていく。
◇檜山詩音(ひやましおん)
十数年前に彗星のごとく現れ、そしてすぐに表舞台から姿を消した天才ピアニスト(作曲家)。悠樹が中学生時代にCDをよく聴いており、その孤独で透明な旋律は、当時の悠樹にとって唯一の救いだった。
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