Synopsis
無能なΩとして実家で虐げられ、使用人以下の扱いを受けてきたシエル。
厄介払いのように北の辺境を治める「冷酷無比」と噂のルシアン・オズワルド公爵の元へ嫁がされることになった。
初夜すら放置され、凍えるような冷たい部屋と食事を与えられる日々。
生きるために真夜中の厨房に忍び込み、自分を温めるためのささやかなスープを作ったシエルは、吹雪の中で倒れていた巨大な白狼(ブラン)を助け、温かい食事を分け与える。
しかしその翌朝、厨房に現れたのは冷酷なはずの公爵・ルシアンだった。
罰を覚悟して震えるシエルだったが、ルシアンはシエルの作った質素なスープを飲み干し、不器用にその味を褒め称える。
「……美味い」
実はルシアンは、領民を愛するがゆえに厳格に振る舞う、ただの「絶望的に不器用な男」だったのだ。
温かい料理を通じて、少しずつ溶け合っていく二人の心。
やがて訪れるオメガバース特有の「発情期」の熱の中で、ルシアンは本能を理性の力でねじ伏せ、ただひたすらにシエルを慈しみ、守り抜く。
「君は私の魂の半身であり、生涯をかけて愛し抜くただ一人の番だ」
これは、実家から捨てられた不遇のΩが、極寒の地で極上の温かい居場所と、発情期よりも甘い永遠の愛を手に入れるまでの、優しくて美味しい雪解けの物語。
※本作はR15作品です。
【登場人物紹介】
◇シエル・リュミエール
リュミエール伯爵家の生まれのΩ。
実家では能力を持たないと見なされ、不遇な扱いを受けて使用人とともに厨房で働きながら育った。
その過酷な環境の中で、冷えた体を温める素朴で滋味深い料理の腕を身につける。
控えめで臆病な性格だが、誰かを思いやり、温かい食事を作ることには純粋な喜びを見出す。
政略結婚で北の辺境へ嫁ぐことになる。
◇ルシアン・オズワルド
北の辺境を治めるオズワルド公爵家の当主で強大なα。
厳しい自然と隣国の脅威から領地と領民を守るため、感情を表に出さず合理的な判断を優先する。
そのため王都では冷酷非情な人物と噂されているが、本質は領民を深く愛し、ただ愛情表現が絶望的に不器用なだけだ。
飾らない温かさを求めており、実は動物好き。
◇ブラン
北の辺境の森に住む聖なる白狼。
熊よりも巨大な体躯と、美しい純白の毛並みを持つ。
本来は非常に警戒心が強く人間に懐くことはない気高い獣だが、吹雪の夜に傷ついて倒れていたところをシエルに助けられる。
シエルの作る温かい料理の匂いと優しい手当てに強く惹かれ、彼を群れの仲間と認めて深く懐くようになる。
不器用な二人の仲を取り持つ重要な存在。
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