Synopsis
僕が好きだったのは、ひとりの“負けヒロイン”だった。
漫画『君が好きだ』に登場する西条さな。
彼女は物語の中で、誰にも選ばれず、報われないまま終わる少女だ。
だから僕は願っていた。
――せめて彼女には、違う結末を。
その願いが届いたのか、ある日僕は眩い光に包まれ、気がつけばその世界にいた。
そこは、まさに『君が好きだ』の世界。
しかも物語はまだ始まっていない。
これから“負けヒロインになるはずの未来”が動き出す直前の時間軸だった。
僕は決める。
この世界では彼女を負けさせない、と。
シナリオを知っているのは僕だけ。
介入すれば未来は変えられるはずだった。
しかし――何かがおかしい。
本来なら起きるはずの出来事がズレていく。
選ばれるはずの人間関係が歪み始める。
そして、ヒロインたちは“決められた役割”から外れ始める。
さらに気づいてしまう。
この世界はただの物語ではない。
そして僕自身もまた、“予定外の存在”だったのかもしれない。
救うために来たはずの世界で、崩壊していくのはシナリオか、それとも――現実か。
負けヒロインを救うはずだった物語は、やがて“誰も知らない結末”へと進み始める。
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