Synopsis

記憶がない。 自分が何者なのかも、なぜここにいるのかも、何も。 ただ一つわかるのは――俺は今、魔王だということ。 そして目の前に、倒さなければならない勇者がいるということ。 しかし、剣を振り上げた瞬間、右手に握る古びた手帳が脈動した。 《 殺すな 》 誰の声か。なぜそう思うのか。わからない。 わからないのに、剣が止まった。 ◆ 大学院生・神崎カイは、二十三歳で過労死した。 目覚めた時には魔王アスモデウスになっていた。 記憶はほぼゼロ。残ったのは右手の手帳と、左目に映る「何かの構造」だけ。 勇者パーティとの戦闘の中で、断片的な記憶が戻ってくる。 戻るたびに、一つの事実が輪郭を持ち始める。 ――この世界は、俺が作った。 設計者が、自分の設計の中に閉じ込められている。 神が、自分で仕込んだトラップに気づいていない。 そして記憶を取り戻すほど、「勇者を倒してはいけない理由」が明確になっていく。 愛し方を設計でしか表現できなかった男が、 自分が作ったものではなく、自分自身を必要とされたい男が、 創った世界の中で、何を選ぶのか。

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Kakuyomu
Kakuyomu05/10/2026
  • Current創世の魔王、記憶を喰らう