Synopsis
後藤梓はクラスの中心にいる。会話を回して、冗談に笑って、誰とでもうまくやれる。そういうのは得意だった。
けれど梓の視線はいつも、窓際で一人本を読んでいる幼馴染の五十嵐春に向いている。
春は誰とも喋らない。誰も春に話しかけない。梓だけが春と帰り、梓だけが春の家に上がり、梓だけが春の前で本当の自分を見せる。
放課後、梓は春に首輪をつけてもらう。
好きだと言えないから、歪な方法で繋がるしかなかった。コンビニで印刷した台本を渡して、春の声で読んでもらう。春の言葉じゃないとわかっている。わかっていて、それでも春の声で聞きたかった。
首輪を締める春の指が、台本にない場所に触れた。その数秒の意味を、梓はまだ理解できていない。
これは好きを伝えられない二人が、歪な関係の中で互いを手放せなくなっていく話。
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