Synopsis

公爵令嬢クラリス・レーヴェンハイトは、王宮夜会で王太子から婚約破棄を告げられた。 理由は、彼女が「民の心を知らぬ冷たい女」だから。 聖女候補ミリアのように民の前で涙を流せず、孤児院の毛布、炊き出しのパン、施療院の薬草代、戦死者遺族への補償——そんな「数字」ばかり見ている女は、王太子妃にふさわしくないと言われたのだ。 夜会を追い出されたクラリスは、雨の王都で一台の辻馬車に乗る。 「どちらまでですか?」 御者の問いに、クラリスは答えた。 「どこにも行かなくていいわ。ただ、走らせて。止まらないで」 その馬車は、失くしたものを探す客を、本当に探している場所へ連れていく不思議な馬車だった。 クラリスが探していたものは、王太子の愛ではない。 婚約者の地位でもない。 公爵家へ帰る場所でもない。 それは、自分の心がどこにあるのかという答えだった。 そして翌朝、王宮は知ることになる。 冷たい数字と切り捨てたものが、王都の朝を温めていたのだと。

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Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou05/10/2026
  • Current【短編版】婚約破棄された公爵令嬢が「どこにも行かず、ただ走らせて」と言ったので、辻馬車は夜の王都を走り続ける