Synopsis
魔法都市アストラム。
かつて失われた前文明の魔法技術の研究と再現を目的として築かれたこの都市には、世界中から才能ある若者が集まっていた。
その中心に位置する名門校、アストラム中央学院。
国家の未来を担う魔導士を育てるこの学園に、一人の少年が留学生として編入してくる。
名はルーク・ヴェルトナー。
優秀で礼儀正しい模範的生徒として周囲から一目置かれる彼の正体は、敵国から送り込まれたスパイだった。
彼の任務はただ一つ。
学園でも有数の名門貴族ブランフルール家の令嬢、エリス・ブランフルールを監視し、彼女の家に秘匿された禁忌魔法の手がかりを探り出すこと。
禁忌魔法――それはかつて大きな災厄をもたらした危険な力であり、各国が厳重に管理し続けている特別な技術でもあった。
もしその存在が公になれば、国家間の力関係すら揺らぎかねない。
任務の失敗は許されない。
正体が露見すれば学園から追放されるだけでなく、祖国からも切り捨てられる。
ルークは偽りの身分と本心を隠し、冷静な留学生を演じながら任務を遂行していく。
だが、当のエリスは――
学園でも評判の才媛でありながら、誰に対しても分け隔てなく接し、周囲の信頼を自然と集める少女だった。
監視対象として接近したはずなのに、彼女と共に過ごす日々の中で、ルークの胸にはこれまで知らなかった感情が静かに芽生え始める。
そこへ現れたのが、かつての恋人であり、同じく学園に潜入していた女スパイ、ソニア・ロゼリナだった。
彼女はルークと同じ任務を背負う工作員であり、冷静で有能な諜報員として確実に成果を上げてきた存在でもある。
監視対象の令嬢と、忘れたはずの元恋人。
三人の関係は、学園生活の中で少しずつ均衡を崩していく。
やがてルークは、エリスの背後に禁忌魔法を巡る重大な秘密が隠されていることに気づく。
それは、この学園の平穏さえ揺るがしかねない危険な真実だった。
任務か、感情か。
祖国か、彼女か。
選択を迫られたとき、少年の決断は、三人の運命を大きく変えていくことになる。
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