Synopsis
母の臨終に立ち会えなかった主人公は、衝動に駆られて富士山へ向かう。
八合目の岩陰で見つけた錆びた缶の中には、見知らぬ誰かが「未来の自分へ」と書き綴った手紙の束が入っていた。
失恋、就職の挫折、父との確執──その言葉は主人公自身の傷と奇妙なほど重なり合っていた。
やがて、主人公も缶に手紙を加え、人生の節目ごとに山へ戻るようになる。
繰り返される登山は「逃げ」ではなく、変わらぬ場所に立つことで、変わり続ける自分を確かめる行為だった。
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