Synopsis

区役所市民課で働く非正規相談員・白峰澪は、来庁者には誰よりも丁寧だが、自分の思いや不満はいつも飲み込み、「どうせ言っても届かない」と胸の奥へしまいこんで生きてきた。 そんな澪がある夜、閉庁後の庁舎地下で迷い込んだのは、黄昏から夜明けまでだけ開く不思議な窓口――未受理相談室。そこでは、昼の世界で受け取られなかった“感情の案件”が扱われていた。 亡くなった姉に渡せなかった手紙。 何十年も出せなかった離婚届。 送信できないまま残った告白文。 無愛想で静かな受付係・冬坂朔とともに、澪は書類ではなく、その奥にある「本当に受け取られるべき思い」を見つけ出していく。 だが、少女・葉月が「死亡届が出されていない人を探して」と現れたことで、未受理相談室の存在は、庁舎に隠された過去の事件へつながっていく。 葉月が探していたのは、かつて区役所で働いていた非正規の女性相談員。彼女は人手不足と過重業務の中で何度も訴えを上げながら、その声を正式には受理されないまま消されていた。 他人の未受理を受け止めるうち、澪もまた、母への複雑な思い、元婚約者に言えなかった本音、職場で飲み込み続けた違和感を抱えたままだったと気づいていく。 そしてやがて、夜の窓口で見つけたものを、昼の世界で正式に受け取らせるため、澪は自分の言葉で声を上げることを決意する。 これは、届かなかった言葉に整理番号を与え、誰にも受け取られなかった声をもう一度この世界へ提出しながら、自分自身の人生をようやく受理していく再生の物語。 現代ファンタジー×お仕事×人情ミステリーで描く、切なくてあたたかい夜の窓口譚です。

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Kakuyomu
Kakuyomu04/11/2026
  • Current未受理相談室は、黄昏にだけ開く