Synopsis
1945年、早春。欧州戦線最末期の東欧。
故郷スイスを抜け出してきたカメラマン志望の青年カールは、雪に閉ざされた森で正体不明の狙撃兵たちに拾われる。
彼らは名前を捨て、ただ一つの呼び名だけで呼ばれる存在だった。
その名は――『アン・オーエン』
それは、プロパガンダ放送で語られる“伝説の英雄”の名。
美辞麗句で飾られた、勝利と栄光の“象徴(イコン)”。
だが、その部隊の中に英雄は「存在しない」。
そこにいたのは――
家族を奪われた者
故郷を焼かれた者
復讐に取り憑かれた者
戦場から抜け出せぬ者
若く純粋すぎた者
狂気を信じ疑わぬ者
英雄(記号)とは誰か。
神話(プロパガンダ)とは何か。
青い理想と愛用のカメラだけを抱え戦場へ来た青年は、
やがて“神話”の内側に足を踏み入れていく。
これは、歴史の狭間の中で、
静かに消えてゆく者たちの記録。
Serialization Info
Web Novel