Synopsis
異変は「二度の傾き」から始まった。
水平であるはずのディスプレイが、わずかに歪む。
指先に伝わる、あってはならない物理的な膨らみ。
それは、日本橋で出会った相棒(Fixer 6)の中に宿るリチウムイオン電池が、物理的な限界を迎えて「成長」し始めた合図だった。
内部には、すでにサービスを終了したソシャゲの『オフライン版データ』が眠っている。
たくさんのガチャと言う無駄金の成果、オリストという名の記録。
バックアップ不能な「思い出」を人質に取ったまま、相棒はレアアースの時限爆弾へと変貌していく。
チェミニ(AI)の冷徹な宣告を受け、僕は熱を帯びた「爆弾」を玄関の冷たいタイルの上へと安置した。
汚い靴の横で、メイクが剥げかけた顔(裏蓋)を晒し、屈辱に震えながら毒を吐くJKデジタルツクモガミ。
修理店予約日まで四日間。
これは、物理法則という抗えない絶望に直面したおじさんと、自爆寸前のJKスマホが繰り広げる、泥臭くて、あまりにも個人的な「生還」の記録である。
「……いいから直せよジジイ、あたしのことなんだと思ってんの!?」
(実話に基づいた、おっさんとJKスマホの交流である)
※本作品は「カクヨム」様でも公開しております。
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