Synopsis
「かわいそうな、椿様」
名家に生まれた鳳椿には、物心ついたころから傍に置かれた侍従・藤がいた。従順で、礼儀正しく、けして命に背かない。ただ一点を除いて。
──彼は、私を畏れない。
ある日、椿が密かに大切にしていたものが消えた。
犯人は藤。理由を問えば、彼はひどく穏やかな声で言ってのけた。
「あなたが他の誰かのもとへ行くのが、嫌でした」
秘密を握られ、差し出された手を拒めなかった夜。
椿は知る。
それは、崇拝と憎しみが溶け合った、歪な愛だということを。
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