Synopsis
十月のある朝、雀が鳴かなかった。
川崎市の会社員・中村灯は、少しずつ世界から音が消えていくことに気づいていた。影が薄くなり、人の足音が聞こえなくなり、空の西側から闇が広がっていく。
誰かに言おうと思った。何度も。
でも——言ったところで、どうにもならない。
七日間、灯は沈黙し続けた。
そして七日目、誰もいなくなった町で、灯はひとり川沿いに立つ。
気のせいだったのか。気のせいじゃなかったのか。
その問いの答えを、灯はずっと知っていた。
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