Synopsis
水を流し包丁を洗う。しかしいくら洗ってもべたつく脂は一向に落ちない。苛立ち、ひと息つこうと煙草を咥える。ライターを握る手はぶるぶると震えていて、なかなか火がつかない。
「くそっ」
悪態をついたタイミングで火がつき、慌てて煙草を軽く吸う。すぐに煙草はじりりと燃えはじめた。肺の奥深くまで吸い込んだ煙は、鉄の味がする。
「はぁーっ」
大きく息を吐きだし、壁に寄りかかった。指の先から灰がぽろりと落ちていったが、文句を言う人間はもういない。
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