Synopsis

追放された日、泣かなかった。 五年間の修行も、人を救った記録も、すべて他人の手柄にされた。 それでも泣かなかったのは、悲しみより先に安堵があったからだ。 リーシャが次に手にした仕事は、呪われた辺境伯の嫁。 届いた屋敷で待っていたのは、書斎を埋め尽くす巨大な黒い竜だった。 解呪はできない。 けれど前世で関わった大きな生き物たちの記憶が、彼女の手を動かす。 竜の鱗を磨き、体温を管理し、荒れた帳簿を読み解いていく。 竜の辺境伯は不器用だった。 言葉より先に尾が動き、感情を隠すように炎を吐く。 十年間、誰にも触れられなかった鱗の下に、何を抱えているのか。 領地を狙う隣の伯爵が動き始める。 神殿では奪われた功績が、静かに綻びを見せ始める。 契約だけで繋がった二人のもとに、嵐が近づいている。 竜の喉がかすかに鳴る夜、リーシャはまだ気づかない。 薬草の束が誰の手で届けられたのかを。

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Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou03/09/2026
  • Current契約結婚の相手が竜の姿のままなのですが