Synopsis
石造りの神殿には、張り詰めた空気が満ちていた。
十六歳の若者たちが、順番に祭壇へと呼ばれていく。
今日――
人生が決まる日だからだ。
「次、ユーク・アルディア」
神官の声が響いた。
周囲から、くすくすと笑い声が漏れる。
「孤児のくせに学院に入った奴だろ」
「どうせ農民刻印だろ」
聞こえている。
だが、ユークは黙って祭壇の前に立った。
神官が水晶に手をかざす。
光が、弾けた。
刻印が浮かび上がる。
神官の顔が、微妙に歪んだ。
「……刻印名。《奪刻》」
ざわめきが起きる。
「なんだそれ?」
「聞いたことないぞ」
神官は続けた。
「能力――
倒した相手の刻印の一部を奪う」
一瞬、静まり返る。
だが次の瞬間
神殿は爆笑に包まれた。
「はははは!」
「そんな能力、どうやって使うんだよ!」
倒さないと奪えない。
つまり
弱い奴には永遠に使えない能力。
完全な外れ刻印だった。
その時だった。
前に出てきた男がいる。
金髪の青年。
貴族。
学院最強の天才。
レオン・ヴァルグ。
「面白い刻印だな」
彼は笑った。
「試してみろよ」
剣を抜く。
「俺を倒してみろ」
その瞬間。
ユークの人生は
大きく動き出した。
Serialization Info
Web Novel