Synopsis
嘉永七年。長き眠りから覚めようとする日本。開港地となった下田には、アメリカの蒸気船、そしてロシアの巨艦ディアナ号が姿を現す。
奉行所の役人・誠之進は、押し寄せる異国文化と古い慣習の狭間で苦悩し、町医者の玄斎は西洋医学の衝撃に自らの信条を揺さぶられていた。
しかし、運命は彼らに「外交」以上の試練を与える。
安政東海地震。猛烈な津波が、なまこ壁の美しい町並みを一瞬にして瓦礫へと変え、ロシアの誇るディアナ号を狂乱の渦へと叩き落とした。
すべてを奪い去る濁流の中で、漁師の鉄次は命懸けでロシア士官を救い、飯屋のお静は異国兵と共に炊き出しの火を焚べる。
「敵か、味方か」ではない。「生きたい」という根源的な願いの下で、言葉を超えた絆が芽生え始める。
泥の中から立ち上がる人々が、日本の職人とロシアの技術者の手を借りて一艘の船「ヘダ号」を造り上げる時、それは単なる帰国船ではなく、新しい時代への希望の象徴となった。
歴史の波濤に呑まれながらも、前を向いた名もなき人々を描く、再生の物語。
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