Synopsis

救急救命センターで働く中堅ナース、雪下 夕姫(ユキシタ ユキ)。通称ユキちゃん。 普段はほんわかと明るい彼女だが、現場に入れば、一瞬でプロの顔へと切り替わる。 出勤前のカフェオレとガム。それが、戦場のようなERとICUを生き抜くための小さなお守りだ。 ERには、酔っ払いや軽症者が押し寄せる日常の裏で、容赦無く「死」も運び込まれる。 ユキは迷いなく仕事をこなし、淡々と死亡を確認し、遺族の涙に立ち会う。 しかし、遺族から向けられる感謝の言葉が、なぜかユキの胸を素通りしていく。 命の終わりを経験しすぎた代償として、彼女の心はいつの間にか、プロとしての「麻痺」を起こしていた。 そんな彼女の前に現れたのが、合理的で冷徹な救命医・甲斐 公貴(かい こうき)。 感情を一切排除し、正論のみを突きつける彼は、ユキの家族対応の「迷い」を指摘する。 「今の反応、遅い。お前のそれは優しさじゃない。ただの『自己満足』だ」 反論できない正しさ。甲斐はユキの鏡であり、なりたくない自分の姿でもあった。 情に厚い弟・龍太郎や、頼れる先輩ナースとの関係、そしておばあちゃんの存在。命の現場で出会う無数の患者と家族たち。 救急は毎日違うドラマを運び、ユキの心を揺さぶる。 これは、命の現場で死に慣れゆく自分に恐怖しながらも、それでも誰かの「最後の砦」として立ち続ける一人の看護師の、痛切でリアルなヒューマンドラマ。 救急は、今日も止まらない。  *** ・本作品は現役看護師または元看護師としての経験に基づいた実体験や、実際の現場の空気感をベースに構成したフィクションです。 ・本作は医療現場を舞台としているため、出血や外傷などの描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ・感情を失いかけたナースが、涙を取り戻すまでの再生の物語【全5話】 ・長編連載の第1章(序章)としても構成していますが、本作だけで独立した物語としてお楽しみいただけます。

Serialization Info

Web Novel

Service languages
Kakuyomu
Kakuyomu02/12/2026
  • Currentキュウメイナース、ユキちゃん