Synopsis
ペガスス座IK星Bの極超新星爆発で発射されたガンマ線バーストの行き先を知りたくないかね?超宇宙規模のレーザービームみたいなものだ。当たればひどいよ。地球なんて丸焼けさ。バンアレン帯など数秒で吹き飛ぶ。そして、地球全体の生命の9割は焼け死ぬんだ。
この宇宙のガンマ線バーストの行き先は、地球スレスレだ。これから行く第二宇宙とやらも同じく。しかし、キミらの世界と違うキミである森絵美のいる彼女の第一宇宙と第三宇宙とやらは、ペガスス座IK星Bのガンマ線バーストが直撃する。地球はお陀仏だ。第一と第三宇宙のキミとキミの仲間は、それを回避するためにジタバタしているようだな。
まあ、面白そうだ。私/ぼくも混ぜてもらおうか。
「あなたはなんなの?どういう存在なの?神という存在なの?」
「え?私/ぼくのこと?そうだなあ、なんだろう?キミは読んだかどうか知らないが、アメリカのSF作家E・E・スミスの『スカイラーク』シリーズに出てくる純粋知性体というのが近そうだ」
「E・E・スミス?『スカイラーク』シリーズ?高校生の頃、読んだ記憶があるわ。ビッグバンの宇宙創成期の後、知性を持った種族が数万年たって、肉体を持たず物質・精神レベルの瞬間構築、瞬間移動が可能な存在になった、宇宙を彷徨っていて、善とか悪とかでは計り知れず、いたずら好きな神のような、気まぐれな存在と確か書いてあったわ。それがあなたなの?純粋知性体があなたなの?」
「それに近いな。そう考えてもらって良い。今のキミだって、記憶データ/知性システムだけで、肉体は持たず、不死なんだから、私/ぼくと似たようなものだ。だから、私/ぼくと一緒にワームホールを通り抜けられる。もしも肉体を持った存在だったら、ブラックホールの潮汐力でバラバラになってしまう。肉体を持たない純粋知性の私/ぼくや、記憶データ/知性システムだけのキミなら向こうに行けるってことさ」
「ちょっと待ってよ。私を向こう?第一宇宙に連れて行って、私をどうするつもりなの?」
「そうだなあ。もしも、向こうのキミ、類似体と第二や第三のキミらは呼んでいるらしいが、その類似体が存在していれば、キミという第三の記憶データ/知性システムを第一のキミの類似体に転移されるところだが、死んじゃっているからなあ。どうしよう?どうして欲しい?」
「そんなことを聞かれても答えられるわけがないじゃない!」
「でも、記憶データ/知性システムという存在のままに、宇宙を彷徨い歩きたいかね?」
「……こ、殺してよ。私という存在を消してよ」
「ごめんねえ。私/ぼくは不死だって言っただろう?キミも不死なんだよ。だいたい、死ぬとかは物質、つまりエネルギーを持っている存在ならできること。エネルギーも何も持たない私/ぼく/キミは、消えて亡くならないんだ」
「……あなたみたいに宇宙を彷徨い歩くのはイヤ!」
「う~ん、どうしたものかな?お!キミ、神宮寺奈々って知ってる?」
「え?えええ?なんて唐突にこんな星系のど真ん中で、地球の私の友だちの話になるの?信じられない!……ええ、神宮寺奈々は私の高校の同級生で、私の親友よ。彼女に何の関係があるの?」
「キミの世界の神宮寺奈々と同じ、第一宇宙の類似体の神宮寺奈々も存在している。彼女の思考の状態はキミに似ている。彼女になら、今のキミ、第四の記憶データ/知性システムを神宮寺奈々の類似体に転移させられる。いいじゃないか?中学、高校時代、キミと似たような記憶を持っているんだから、違和感はそんなにないはずだよ」
「……奈々に私が入るの?」
「同期可能だ」
「じゃあ、奈々はどうなるの?私はどうなるの?」
「そうだなあ。二つの異なるアイデンティティーがひとつの脳内に存在することになる。だけど、大丈夫、徐々にオリジナルの奈々とキミは融合するから。ハイブリッド?その言葉でいいかね?それになるんだ」
「……」
「あ!すまない。二つじゃない。三つだ」
「三つ?どういうこと?」
「未来の第三宇宙のキミらが第一宇宙を調べようとしている。だから、未来の第三宇宙のキミ、森絵美も来る。それで、第一のキミの存在が発見できない理由を調べるそうだが、第三宇宙のキミの記憶データ/知性システムもたぶん神宮寺奈々に転移するんじゃないかな?」
「第三宇宙の私?それって、どういう人?その世界では私は生きているの?」
「ああ、キミの類似体は生きている。彼女は物理学者だよ。キミと生年月日は同じだ。彼女は第三宇宙からの記憶転移を受けている。面白いね。ただし、第三宇宙のキミは、2010年頃から来るらしい。だから、え~っと、1958年生まれの彼女は2010年では52歳だった。第三では生年月日が異なっていたようだから、39歳くらいかな。20歳のキミと39歳、52歳のキミが20歳の別人の神宮寺奈々の脳に入り込む。興味深い話だ。あまりマルチバースでも類例がなさそうだ。第二と第三のハイブリッドが、第一の別人物神宮寺奈々に転移する。それに第四のキミも入る。混乱しそうだよ。面白い!」
「他人事だと思っているわね」
「そうさ。宇宙を彷徨い歩くだけじゃあ、退屈だろう?そうそう、言っておくが、これから行く第一のキミの周りの地球人たちは、キミのオリジナルの第二と同じだ。まあ、移動しようか」
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