Synopsis

――この夜、私は寝つけなかった。  キシュガルの気持ちを知った。  心の奥から血が噴き出るように、思うことがあった。 「魔剣ランシュバイク……」  魔装師――父の職業。平和だった帝国で無用の長物と謂われた。魔導士として高い資質を持つ者だけが成れる、武器を魔装して魔器に変える能力の持ち主。魔器は威力も、殺傷能力も格段に向上し、何より持ち運びせず念じれば出現し、装備できる。  それこそモイスティアのような優等生に匹敵する実力が必要な仕事――しかし、誰も彼も安泰な暮らしを望んでわざわざ凶事を念頭に置く仕事には就きたがらなかった。魔装術は廃れ、父は現存する最後の魔装師だった。 「父は偶然死んだのではない。父の傑作は反乱軍に盗まれ、懐柔策を拒んだ父は見せしめに殺された」  私も――。  私は、翌朝一番の列車で生まれ故郷へ向かった。

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Kakuyomu
Kakuyomu02/08/2026
  • Current魔剣ランシュバイク