Synopsis
旅の夜、草鞋を脱ぐ音が、
静かな家々にそっと落ちる。
甚八は多くを語らない。
ただ礼を尽くし、筋を通し、
人の情けに触れれば、深く頭を下げる。
名は“鬼狩り”。
だがその名の裏にあるものを、
甚八自身は語ろうとしない。
摂津の川沿いで、
甲州の山影で、
江戸の片隅で――
出会う人々の心の揺れが、
甚八の旅路に静かに重なっていく。
怒りも、悲しみも、
ほんのわずかな温もりも、
すべてを胸にしまい、
甚八はまた歩き出す。
――渡世人・甚八。
人の情と、旅の寂しさを描く道中記。
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