Synopsis
夜逃げみたいなことをするのは、はじめてのことじゃない。はじめてじゃないどころか、慣れ切りすぎて、スリルも興奮も感じない、身体に馴染んだ手順になりつつある。
私はニートで、恋人はまっとうに昼の仕事をしているひとだから、こんなふうに恋人が残業で午前様の日を狙ってわざわざ夜中に出ていかないでも、昼間に荷物をまとめる方が楽ではある。でも、私にはなんとなく決めていることがあって、それは、恋人から逃げるなら、夜に、ということだ。その方が、恋人の方だって、ろくでもないおんなと関わってしまったな、とすっきり踏ん切りがつきやすいだろうし、私がろくでもないおんななのは確かでも、一応は恋人同士で情もあるだろうから、私の不在に気が付くのが、夜よりは朝の方が、まだ気持ちがましなのではないかと思いもする。
Serialization Info
Web Novel