Synopsis
魔界を千年統べた大魔王ミスティゾーマは、単独勇者アオに敗れ、無惨に斬り捨てられる。圧倒的な暴力の前に、自分が築いた城も配下も消え、残ったのは屈辱と「終わり」だけ──のはずだった。だが次に目を覚ますと、そこは人間界。「希望ヶ丘高校」に通う一年生・大空碧人として転生していた。
碧人はダンプ事故で一週間昏睡していた少年で、復帰早々、サッカー部へ“自動的に”放り込まれる。魔王としての洞察力と身体能力は人間基準では規格外。ボールを蹴る快感に目覚め、無回転の弾丸パス、オーバーヘッドを平然と決め、部内の空気を一気に変えていく。合理と恐怖で支配してきた魔王にとって、仲間が声を掛け合い、誰かの痛みに寄り添いながら走り切ろうとする“部活の熱”は理解不能だったが、なぜか胸が熱くなる。
そんな碧人の前に、事故体質の美少女・秋月結菜、指をツンツンさせる不思議系マネージャー古手川マミが現れ、日常は賑やかに。さらにサッカー部を支配するのが、ムチを携えた妖艶な監督代理・美神美玲。彼女の理不尽で危険な“調教”に部員は震え上がるが、チームは勝ち始める。碧人は彼女にただならぬ力の匂いを嗅ぎ取り、互いに探り合うような緊張が芽生える。
インターハイ予選最終戦、相手校の天才・カルロスにキボコーは翻弄される。しかし土壇場で碧人が投入され、異次元のシュートとドリブルで試合をひっくり返す。勝利のど真ん中で、魔王は初めて「孤独ではない」喜びを知る一方、自分がかつて魔界で行ってきた処刑と恐怖政治を思い出し、強烈な自己否定に沈んでいく。善人になろうと足掻いても「おまえは魔王だ」という声に苛まれ、心は壊れかける。
転機は、魔界から漏れ出した“亀裂”だった。リキシー、ミノタルードといった魔物が人間界へ出現し、明かされる真実――ついに勇者アオがこの世界へ追ってきた。圧倒的な力を誇るアオに、ミスティゾーマとザキラスティアは追い詰められるが、古い言い伝え──「魔王と処女魔王が結ばれし時、偉大なる力が生まれる」──が現実になる。二人の接吻で力が共鳴し、魔王は決戦の呪文≪ハゲチャウシカナイオン≫でアオを討つ。
戦いが終わり、日常へ戻る朝。彼は“魔王のまま”人間界で生き直す道を選ぶ──サッカーのボールを蹴り続けるために。
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