Synopsis

帰り道、彼は確かに言った―― 「好き、だと思う」。 そう聞いた瞬間、胸が高鳴った。 けれど、聞き返した私に返ってきたのは、まるで別の言葉だった。 「今日は寒いなって」 聞き間違いだったのか。 思い込みだったのか。 それとも、言ったけれどなかったことにされたのか。 翌日、彼は何も覚えていない顔で笑っていた。 曖昧な言葉、断定を避ける態度、 誰も傷つけない代わりに、何も背負わない優しさ。 私は問い詰めることを選ばず、 彼も、言い切ることを選ばなかった。 だから今でも思う。 あの日、彼は確かに言ったのだと。 ――ただし、それを聞いたのは、私だけだった。 言葉が残らない恋は、 いつまでも心の中で、終わらずに反響し続ける。

Serialization Info

Web Novel

Service languages
Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou01/19/2026
  • Current『何もしなかった恋の話』②