Synopsis

婚約者は、私を愛してはいなかった。
見ていたのは家柄で、地位で、周囲の評価だけ。
令嬢として“美しく在ること”を求められ、
私はいつの間にか、役目だけを生きる存在になっていた。

だから、婚約破棄を告げたのは――私の方だった。

それは拒絶でも、復讐でもない。
ただ、「私を見なかった人」の隣に立つ理由が、
もうどこにも見つからなかっただけ。

けれど選択の代償は重く、
私は社交界から、世界から、静かに追放される。
――それは罰のはずだった。
けれど皮肉なことに、それは“解放”でもあった。

誰かに美しく生きろと命じられない場所で、
誰かの価値を背負わない場所で、
私は初めて「私」として息をする。

一方、私を見捨てた婚約者は、
私がいなくなった世界で、少しずつ崩れていく。
失ったのが“令嬢”ではなく、
“たった一人の人間”だったことに気づかぬまま。

これは、奪わないざまぁ。
叫ばない復讐。
微笑みのまま去った令嬢が、
二度と振り返らない物語。

――さよならは、もう告げた。

Serialization Info

Web Novel

Service languages
Alphapolis
Alphapolis01/19/2026
  • Current私を見捨てた婚約者へ、さよならを