Synopsis

受賞の夜、招いていないはずの父の名前が席次表にあった。 ペンネーム“凛”で成功を掴んだ私は、本名も、家族も、十年前に捨てた。 けれど匿名の「実名暴露」告発が拡散し、次作も仕事も崩れかける。 追い詰められた私の元に届いたのは、黒い封筒と古い航空券。 行き先はヴェネツィア。そこには―― 「名前を返しに行け。水の街で待つ」 とだけ書かれていた。 水の迷路のような街で辿り着くのは、仮面の印が揺れる“郵便局”。 そこは、投函されなかった手紙を預かり、必要な人へ返す店だった。 そして鍵に刻まれた文字は、なぜか胸を刺す。LUCIA。 失われた洗礼名、沈む家族写真、父が遺した「ごめん」の欠片。 私は気づく。隠して守ったはずの“名前”が、 いちばん大切な自分を削っていたことに。 本名を名乗るか。ペンネームに逃げ切るか。 水鏡の街で、私は「ほどけなかった結び目」をほどいていく。 そして帰国の日―― 物語ではなく、自分の声で“告白”する朝が来る。

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Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou01/14/2026
  • Current『水鏡の街で、名前をほどく(ヴェネツィア)』