Synopsis
1、あらすじ
冬の山嶺で響いた一発の銃声が、終わりの始まりだった。獲物を金としか見ないハンター・山崎が撃ち抜いたのは、単なる獣の命ではなく、神との境界線そのものだった。
突如として市街地に出現した巨大な影と、街を呑み込む黒い泥。科学の粋を集めた政府組織「環対」の総力戦さえも、荒ぶる山の前では無力な「言葉」でしかなかった。
文明が崩壊し、漆黒の冬が世界を覆う中、若いガイド・拓海は遠野の地で、錫杖を携えた謎の祓魔師たちと出会う。彼らが目にしたのは、神をも窒息させる「文明の排泄物」が形を成した怪異だった。
2、登場人物紹介
拓海(たくみ): 本作の語り部。山崎のガイドを務めた青年。源三から「鈴」を託され、神と人の境界を歩む目撃者となる。
天海(てんかい): 金剛高野山の阿闍梨(あじゃり)。己の魂を導火線に宇宙の理を操る祓魔師。魔界で菩薩の境地へ至る。
源三(げんぞう): 里に住む老マタギ。山の礼節を重んじ、異変の正体を見抜く。拓海に鈴を託して諦観(ていかん)の中に消える。
山崎隆平(やまざきりゅうへい): 資産家ハンター。自然を金と承認の資源としか見なさず、最初の断罪を受ける。
東条(とうじょう): 環境事態対策委員会(環対)委員長。合理主義の塊で、科学こそが自然を凌駕すると過信し自滅する。
蓮花(れんか): 天海に同行する女性祓魔師。冷徹な観察眼と祈りの力で天海を支える。
善行(ぜんぎょう): 遠野の禁足地に棲む鴉天狗(からすてんぐ)。高野山と盟約を結ぶ物の怪の長。現代の「滓」に侵されつつある。
3、舞台、団体等詳細設定
環境事態対策委員会(環対): 超法規的組織。科学、軍事、政治の融合体。自然を資源としか見ない人間の傲慢さの集大成。
ダイダラボッチ(現代版): 伝統的な巨人ではなく、埋め立てられたプラスチック、重金属、汚泥、そして「捨てられた想念」が神の霊脈上で発酵したもの。分解されない物質=不滅の呪い。
魔界(負の集合無意識): 人間が社会生活の中で抑制し、切り捨てた負の感情が淀む場所。物理法則ではなく感情の質量が重力となる。
Serialization Info
Web Novel