Synopsis

十二月は、我が家の庭に一本の古い電飾ツリーが立って、ようやく始まる。 近所が早々とLEDで競うなか、私はあえて少し遅らせる。それは静かな抵抗であり、この家だけの「間」の儀式でもあった。 残業続きの父と、デジタルの勝利に生きる高校生の息子。けれどツリーを立てる日だけ、息子の目は画面から離れ、錆びた針金と古いネオンの光へ向かう。 点った灯りと、台所から漂うポトフの香り。遅れて始まるからこそ刻まれる、家族の祝祭の一夜。

Serialization Info

Web Novel

Service languages
Kakuyomu
Kakuyomu12/16/2025
  • Current薄明かりの灯火