Synopsis
主人公は、子どもの頃の家を思い出すたびに「午後四時の匂い」を感じる。しかし、その正体が何だったのかは、どうしても思い出せない。大人になった今、夕方の街や台所でその匂いを探し続けるが、見つかるのは現在の現実の匂いばかりだった。
記憶は失われたのではなく、形を変え、欠落として残っているのだと主人公は気づく。探していたのは匂いそのものではなく、何も背負わず時間に委ねられていた「かつての自分」だったのだ。
匂いのない午後四時を生きる現在を受け入れ、主人公は静かに前へ歩き出す。
Serialization Info
Web Novel