Synopsis

二〇四八年。量子コンピュータが実現させたのは、並行世界の「もう一人の自分」との出会いだった。  孤独に苦しむプログラマー・結城ユイは、量子自己接続プロトコル(QSP)を通じて、陶芸家になった自分、研究者になった自分、母親になった自分――無数の並行世界の自分たちと繋がる。初めて得た「完全な理解者」との絆に、ユイは心を開いていく。  しかし、接続を重ねるごとに異変が起きる。記憶が混ざり合い、境界が溶け始める。量子自己同期率が90%を超えると、個は消失し、分散型意識ネットワークへと変容する――それは悟りか、死か、それとも進化か。  同期率85%。残された時間で、ユイは究極の選択を迫られる。  並行世界の自分たちは、すでに高同期率に達し、個に戻れない。彼らが託した最後の願い――「君だけは、個として生きてほしい」  論理は融合を示す。でも感情は叫ぶ。「私は、『私』でいたい」  個であり全、全であり個。これは量子が繋ぐ、孤独と選択の物語。

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Kakuyomu
Kakuyomu12/10/2025
  • Current【SF短編小説】85%の私――量子接続が繋ぐもの、そして失うもの(約21,000字)