Synopsis
「……ない」
天蓋付きのベッドで目覚めた『第1聖女』セレスティア・フィル・アインスは、絶望に打ちひしがれていた。
「クソッ……。イライラして血管が切れそうだ。誰かタバコを持ってこい。『黒犬』の両切りを!」
白磁のような肌。ガラス細工のように繊細な肉体。
だが、その中身は――泥と鉄錆を愛した元・敵国の遊撃隊長、ヴォルフガング・シュタイン(享年48)だった。
「は、はいっ! 聖女様のお召し替え、このリーゼロッテが命に代えても!」
「……ん。ご主人様のうなじ、見たい」
朝から全裸で迫る騎士団長。影のように張り付く暗殺メイド。
狂信的な美女たちの、重すぎる愛撫(スキンシップ)に耐えながら、聖女(中身:オッサン)は今日も戦場へ向かう。
手にするのは杖ではない。
純白のスカートの中に隠し持った、無骨な可変式パイルバンカー『罪咎(ザイ・キュウ)』。
「祈りなど結構。神が見ている前で、鉛の慈悲をくれてやる」
ニコチン切れの禁断症状に震え、美女たちに翻弄されながらも、聖女はトリガーを引き絞る。
これは、美しすぎる檻に閉じ込められた狼が、泥塗れの戦場を優雅に、そして暴力的に駆け抜けるハードボイルドTS戦記。
「……さあ。俺たちの戦争《奉仕》の時間だ」
Serialization Info
Web Novel