Synopsis

──伊吹山は、滋賀と岐阜のあわいに立つ、標高一三七七メートルの峰。 古くは神々の気配が満ちる山として語られ、旅人も行者も、その姿を仰いできた。 山の名にある “息吹” は、豊かな薬草の香りと、生命の力の象徴。 冬には深い雪が山肌を静かに包み、夏には風が草原を渡る。 古い伝承と季節の息づかいが、ひそやかに重なりあう山——それが、伊吹山である。 ──仕事を終えて外に出たとき、ふと空を見上げると、まるで 日の出のように輝く月が、雪をまとった伊吹山の裾からゆっくりと昇ってきたように見えた。 夜のはずなのに、世界が一瞬だけ明け方みたいに澄んで、伊吹山が静かに息をしているのをこちらまで感じられるような気がした。 その光景は、山の昔語りにそっと触れられたような、そんな不思議な余韻を私の胸に残していった。

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Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou12/05/2025
  • Current【伊吹山と冬の月】─自然の美しさに心が詩を紡ぐとき─